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すし 鮨 寿司


今や日本を代表する世界的な料理になった握り鮨。一応、鮨の字を用いたがどれを使ってもよいらしい。酢飯から発生して「め」が取れて「すし」となったのが本来の言葉であり、漢字は当て字ということになる。魚が旨いと書いて鮨、めでたい寿を使って寿司。すし屋が屋号をつけるとき、好き好きに雰囲気で使い分けているにすぎないと思えばよい。
鮨が今のようになったのは、19世紀の前半の江戸時代だそうだが、時代小説の世界ですし屋で食べる情景を描いたのは、意外と少ない。私もすし屋にまつわる情景を描いた作品を読んだ記憶はない。それまでは自然発酵による馴れずしが主流であつたのが、酢の発明により酢飯にネタをのせて握るようになったようである。すぐできるすしなので、早ずしの異名もある。当時有名だったのは、深川の「松のすし」と両国の「与兵衛ずし」で、その後爆発的に広がり、町ごとにⅠ・2軒のすし屋があったようである。

こんな作品もあるようだ。
晩飯前で英助の健康な胃袋は好物をまえにしては歯止めがきかなかった。英助は遠慮もなく手を伸ばした。こはだは銀色に光り輝いていた。鮪のかッとした赤さ、穴子、卵焼きの厚さに感動した。(宇江佐真理「桜花を見た」
文春文庫)

by binjichan | 2007-11-30 21:44 | 小説の周辺
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