1968年「僑人の檻」で直木賞受賞。代表作「おけい」「奇兵隊の叛乱」「会津士魂」。
本書は小さい活字で525ページに及ぶ。そのため目が疲れて途中で投げ出すのではと危惧したが、休み休みどうにか読み終えた。 それというのも、週刊新潮に昭和45年5月から連載されたもので、主人公は同一でも一話一話読みきりの形式をとってシリーズ形式の連載ものであるためであろう。 主人公の旗本の家系に生まれた部屋住みの加賀爪主水が、全編に登場し、江戸期の泰平安逸な時代を背景として、湯女を相手にして興味のあるストーリー展開を見せてくれる。 湯女風呂の湯女とのエロティズム描写が見所になっているが、風呂屋をとして、江戸風俗様子、特にその当時の風呂の様子がよくわかる。 剣と色の道に卓越した技をもちあわせる主人公像が鮮明すぎて、史的事例の解説をおろそかにして、読み急ぐ危険性がある。
by binjichan
| 2007-11-17 21:18
| 読んだ本の寸評
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