ぶらりと古本屋に立ち寄るのも良い息抜きになる。「斬」で1972年に第67回直木賞を受賞したこの作家は、一文字漢字の作品が多いので印象に残っていた。
そのつもりで本棚をさがしていたらこの「戊辰落日」があるではないか。四文字漢字の題名である。目次を見るとすべて二文字の漢字である。作者のこだわりが感じられる。 「恭順」「斬奸」「盟約」「虚実」「光芒」「絶唱」「セイ風」「落日」セイは目ヘンに星?なのだがパソコンで探せない。 「秋霜」「炎上」「孤影」殉難」「去来」「逃亡」「落城」「飛雪」と続く。 小説を買うときに普通しないが、中をパラパラとめくってみると、漢字かな混じりの資料からの引用が多く目立つ。この作者の特徴かもしれない。 小説は、明治と改元する直前の、会津藩主松平容保が江戸藩邸から会津へ帰国するところから始まる。会津藩は熱烈な勤皇藩であったにもかかわらず、戊辰戦争で、「朝敵」の烙印を押され、新政府軍との戦いで会津落城までの会津人の傷痕と怨恨の歴史を探るものである。 作者は「あとがき」で「戊辰戦争」の歴史を書くつもりはなかったといっているが、膨大な資料に基付き史実にそくして描かれているので、歴史伝達の体裁を整えた小説といえる。日記や雑記 など引用されている部分が多いので、なおさらに戦いの様相に真実味を加えるように思う。 風呂場で湯船につかりながら読むことも度々だったので、読み終わったときには、湯気を吸い文庫本の厚みが増していた。 国内外とわず戦争とは、形容しがたい悲痛なものであることを資料が物語っている。 敗戦後、会津を喪失し、本州の北端下北半島に移された藩士のその後が気になるところである。 まだ読み終わっていないのに、次に読む本が決まったようなものである。それは??? ■
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by binjichan
| 2007-02-07 18:06
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