<   2008年 04月 ( 2 )   > この月の画像一覧

戦雲の夢 司馬遼太郎 講談社文庫

作家の37歳時の長編。土佐の22万石を築き上げた長曾我部元親の三男、盛親を描いた作品。
男を描けば天下一品の作者だが、この作品では、盛親を取り巻く女性が見事に描かれている。
盛親は、父の生存中に兄がいるのに父の意向により跡目を継ぐ。秀吉の死後、西軍につき、関が原の戦いで毛利の指揮下にはいるが、戦うことなく敗れる。一介の牢人の身に落ちる。恥じ多き蟄居のなかで、戦陣への野望を密かにはぐくみ、再起をかけて遺臣たちと共に、大坂の陣に立ち上がるのであるが、大きな器量を持ちながら、結果は、家康の野望にくずれ、乱世に取り残された悲運の武将となる。この過程を女性観を含めて見事に描き出されている。幼友達であり家来である交友。忍者の献身的な働きなど個性豊かな脇役がでてきて、主人公の性格を浮き彫りにして最後まで面白く読めた。
[PR]
by binjichan | 2008-04-17 21:48 | 読んだ本の寸評

歴史小説 読切御免第一巻と二巻 新潮文庫

表紙カバーに挿絵がない。一巻は黒一色、二巻は赤一色で金文字で「歴史小説と書いてあるのみ。珍しい装丁である。挿絵の費用をインク代に変えたようなものである。
内容は、現役作家の短編集。ほぼ、読み終わっているのだが、印象に残らない。短編集は、子供の頃の安普請のおもちゃのようで、呼んでいるときは、夢中で楽しむのだが、時間と共に記憶に残らず、忘れ去られる。作家と題名まで結びつかなくなるもののようだ。作品ごとに関連するテーマのコラムが載せられている。時代の背景を垣間見ることが出来る。
備忘のために作者と作品名を記しておく。

一巻
北方謙三 「杖下」
宮部みゆき「謀りごと」
小松重男 「一生不犯異聞」
安西篤子 「刈萱」
南原幹雄 「決闘小栗坂」
皆川博子 「土場浄瑠璃の」
船戸与一 「夜叉蚊鴉」
二巻
北原亜以子「傷」
安倍龍太郎「伏見城恋歌」
逢坂剛   「五輪くだき」
佐江衆一  「峠の剣」
杉本苑子  「一夜の客」
伊藤桂一  「赤城の雁」
津本陽    「死に番」
[PR]
by binjichan | 2008-04-17 21:11 | 今読んでいる本