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侍はこわい  司馬遼太郎  光文社文庫

司馬遼太郎の初めて本になる短編集である。
壮大かつ人間を活写した史劇で読者を魅了し続けた作者の印象ばかりでなく、この短編集でまた作者の異なる側面を垣間見ることが出来た。
収録されている作品は、
「権平五千石」
秀吉が大名になったばかりのときの家来には、清正・三成・嘉明・正則とその後大名になった武将がいる。しかし、平野権平は、いっぷう変わった障壁があった。
「豪傑と小壷」
稲津忠兵衛というとてつもなく強い豪傑の戦いに縁のないから回りした人生の話。死んだ後、ひょんなことでの小壷が本人の名をとどめることになる。
「狐斬り」
「忍者四貫目の死」
「みょうが斎の武術」
「庄兵衛稲荷」
「侍はこわい」
「ただいま十六歳」
いずれも、見栄えのよくない無骨な主人公がテーマになっている。登場する女性は、ふしぎと時代を乗り越えた偉大さが漂う存在感がある。
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by binjichan | 2008-03-24 16:58 | 読んだ本の寸評

いっぽん桜 山本一力 新潮文庫

初めて山本作品を読む。人情時代小説というのであろうか、切ったはったの刃傷沙汰がないので、癒される。当文庫本は、何れも花を題名にした「いっぽん桜」「萩ゆれて」「そこに、すいかずら」「芒種のあさがお」の4編からなっている。
「いっぽん桜」
江戸時代のサラリーマン退職物語といえる。大店の頭取まで上り詰めた主人公の退職を言い渡された後の人情物語り。現代に通じるサラリーマンの悲哀とかぶせながら自分と重ねて読んでしまった。そこに登場するのが咲いたり咲かない年があったり気まぐれな庭の桜である。
「萩ゆれて」
土佐藩勘定方の長子、服部兵庫が、切腹させられた父の悪口をいわれ、果し合いのような木刀試合をして、打ちのめされ妹の好意で温泉治療に行く。そこでであった漁師の生活に憧れ、武士を捨てて漁師になることを母親の反対を押し切り断行する。やがて親身になって漁師になる手伝いをしてくれた漁師一家の娘と結婚し、城下に魚屋を開業する。
「そこに、すいかずら」
先代が江戸の材木商だったが大火で消失、その後、せがれが料亭を開業、大尽の紀伊国屋の口利きで寛永寺建立の材木手配の片端を荷い大もうけする。その金の一部で、ヒノキ御殿が3軒も建てられる大枚ををだして、一人娘のために日本一のひな飾りを注文、飾るのに一日を要する大きな拵えで、飾る広さは20畳、40畳の部屋のあるひな屋敷までたてる。さらに、立派なひな飾りが消失しないように、専用の蔵を建造して、江戸の大火から護る。だが、二度に及ぶ大火で店は消失、たくわえで再建するもすぐまた大火で、娘の両親は火事でなくなる。一人残されたその娘は、さてどうしたか。
「芒種のあさがを」
朝顔好きの父は、朝顔の本に夢中である。その娘が年頃となり水掛祭りに出かけた帰り、父の好きな朝顔を買って帰ろうと日本一の朝顔店に立ち寄ろうと道を尋ねたのが、そこの、せがれであった。お互いに惚れあい結婚し、あさがお屋のよめになるのであるが、舅と姑が一曲者で、難渋するのであるが・・・・

4篇に共通するテーマは、男親の娘に対する愛情の表現である。仕事は異なるが、それぞれの
一人娘に傾ける愛が描かれている。
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by binjichan | 2008-03-12 17:48 | 読んだ本の寸評

大岡越前 縄田一男編 廣済堂文庫

円熟作家が描く大岡忠相(ただすけ)後の越前守のアンソロジー。
映画テレビでおなじみの名奉行大岡越前守の活躍を描いた7編の作品軍である。
収録作品 作者 底本 を順に記しておく

「間の山の心中」 佐江衆一 「伊勢奉行八人集」php研究所
「くじら裁き」 杉本苑子 「鶴屋南北町の死」文春文庫
「白子屋騒動」 村上元三 「代表作時代小説 昭和32」 東京文芸社
「殺された天一坊」 浜尾四郎 「昭和ミステリー大全集」 新潮文庫
「投げ火の伝兵衛」 長谷川伸 「七つの捕り物」 東方社
「殺人蔵」 山田風太郎 「妖説忠臣蔵」 集英社文庫
「天守閣の音」 国枝史郎 「妖異全集」 桃源社

何れもどこかで忠相が登場するのであるが、「殺人蔵」においては、どこで登場したのか不明。
最初の二編は、忠相が山田奉行時代の作品。伊勢奉行は、日光奉行と同格。地蔵に縄をかけ悲運の男女を救う新説版といえる。
二作目は、水揚げされたくじらをめぐって二村が権利争いする物語り。
「白子屋騒動」は当時乱れていた江戸の世相に警鐘を鳴らすため重刑をかした話。等々。
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by binjichan | 2008-03-04 17:02 | 読んだ本の寸評