カテゴリ:読んだ本の寸評( 42 )

冬の標    乙川優三郎著作   文春文庫 2002年中央公論新社単行本

1冊の文庫本にこんなに日数を掛けて読んだのは、これがはじめてである。ほぼ一ヶ月を要したことになる。
なぜかというと、読んだ場所が浴槽で湯につかりながら読むのみで、常にビニールをして浴室の着替え室の棚においていたからである。特にそうしなければならない訳があったのではない。電車の中で本を読む外出が無かったからというほかない。半日くらいの車での外出が度重なったからである。自室兼書斎にいるときは、実家の父の遺品である書類整理に追われ小説を読んでいる時間がなかったのもその流の一つである。

不埒な浴室での読書のことはさておき、作者の文章表現の旨さには、いつも驚きであり、自然や草花の表現は、絵画的であり美しいと常々から感服していたところ、この作品では、絵画に情熱を傾ける女性をとりあげているのであるから、作者自身相当絵心があるのではと、その感時を深めたしだいである。

小説の舞台は、幕末、どこの藩だか明らかではないが小藩の大番頭の娘・明世が南画の自由な世界に魅せられ画家になりたいのだが、世間のしきたりは、女子が絵を描くことすら許さない時代である。
結婚して夫と姑に仕えることを強いられ20年が過ぎる。夫亡き後、子供は元服を終え家督をつぎお城奉公にでる。時代は、幕府の二度にわたる長州制圧の戦いの最中であり、藩内も保守と革新の二派に分裂、明世の実家と跡継ぎの息子とは派がことなり、実家からも圧力がかかる。
そんな中、自からの情熱にしたがいえの未知を追う決心をする。封建の世に自立の道を歩もうとする女性の葛藤と情熱を見事に描いた感動の小説である。直木賞受賞後の一冊目の作品。女性の心理描写に優れた数少ない男性の作品ではないだろうか。
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by binjichan | 2010-03-14 17:34 | 読んだ本の寸評

鎌倉河岸捕物控  下駄貫の死  佐伯泰英著  ハルキ文庫

「橘花の仇」「正次、奔る」御金座破り」「暴れ彦四郎」「古町殺し」引札屋おもん」に続く当シリーズ第7弾。
初めてこのシリーズを読むにもかかわらず、第7弾からが最初である。別に順番に読まなくても、捕物の場合、事件ごとに明確に区切られて、何件かの事件を短編集のように何編かをまとめて世に出されるので、どこから読んでもそれほどの不都合はないとの考えからである。
第一話「引き込みおよう」から始まり第五話「若親分初手柄」まで想像したとおり何の違和感も無く、筋書きを追うkとが出来、楽しめた。
松坂屋の隠居・松六夫妻たちが、湯治で上州伊香保へ旅することになる。一行の見送りに戸田川の渡しへ向かった金座裏の宗五郎と正次・亮吉たちが、暴漢たちに追われた女が刺し殺されるという事件に遭遇する。
一方、残酷な押し込み先の人々を皆殺しにする強盗が現れこの事件と殺された女とのかかわりから、事件改名の糸口がほぐれてくる。
金座裏の十代目を正次に継がせようという動き野中で、下駄貫に凶刀が襲い、宗五郎の怒りが炸裂する。


どのシリーズもこの作者の書き下ろし小説は、楽しめる。
その面白さについて、なぜなのか前にも触れたことがある。しかし侠気がついたほかの理由が見つかった。
読者に共通した理由にはならないが、私に限っていえば、物語の展開場所が、長く滞在したとか、住んだことがあるとか、住んでいるとか身近に感じる場所であり、郷愁をそそる懐かしい場所であり、そこを昔に戻り観光させてくれているおもむきが各シリーズに散らばっているから、面白さを広げてくれているように思う。
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by binjichan | 2010-03-14 13:11 | 読んだ本の寸評

漂流  吉村昭  新潮文庫 昭和55年12月発行

天明年間に水の湧かない火山島に漂着。12年間を生き抜き八丈島に帰還し、奉行所に陳述した記録を元にかかれた長編ドキュメンタリー小説。昨年暮れに暮に読み終えているのだが、暮れから二月に掛けて、中学時代の同窓会の準備や孫と遊ぶ正月行事、そして年老いた母の介護問題やらで、このブログに書き入れるのが今となってしまった。

しけにあい黒潮に乗って漂着した島は、絶海の孤島であり水がない火山島でもあった。生活手段を持たない無人島で、仲間の男たちは次々に倒れていったが、土佐の船乗り長平は、ただ一人生き残って、12年の苦闘の末に生還する。その生存の秘密は、渡り鳥とあきらめぬ意志の持ち方であり、壮絶な生き様には、感動を呼ぶ。
一貫して人間と自然との闘いの物語で人間同士の葛藤は、小さなものに思える。上陸した島にはあほうどりの群れが居た。孤島に閉じ込められた長平らの周りには、春に去って秋に戻ってくる大きな鳥のうごめきが感じられ、物語の大きな脇役でもある。人間の食糧として役立つばかりでなく、鳴き声や排泄物の異臭さえが、近くに生き物が居るやすらぎを生存者に与えている。その飛ぶ姿が脱出する希望さえあたえ、孤独に押しつぶされそうになる心をっさえている。
優れた描写の裏には、作者の克明な取材があり、和戦の構造、太平洋の気象、島々の風土、アホウドリの生態まで周到に用意された知識の裏づけがあってこその物語である。
そして、鮮明に教訓としてつづられている事項は、運動不足と栄養の偏りが人の命を簡単に奪うということである。海辺の海藻や貝類の接種がいかに人間の生命を維持するか、克明に描かれている。
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by binjichan | 2010-03-14 09:17 | 読んだ本の寸評

人間の檻 獄医 立花登手控え④ 藤沢周平 講談社文庫

このシリーズの全3巻を読んだはずなのだが、ここの話を思い出さない。それほど以前に読んだことになる。
勿論、獄医登るのおかれているシチュエイションについては、居候をしている叔父家族の面々の個性などは、失念していないが、一巻ごとに掲載されている6,7個ほどの話題と事件を思い出さないのである。
だが、読み直そうという気力もない。ただ、書棚に欠番となっていた「人間の檻」4巻目が始めて覗いたBOOKOFFで見つかったので、読む気が起きただけのことである。
「小説現代」に昭和57年4月から1年間ほどに掲載されたシリーズ短編集である。
「戻って来た罪」
「見張り」
「待ち伏せ」
「蔭の男」
「女の部屋」
「別れゆく季節」
何れも獄医の立場で聞かされたことが発端となり、事件にかかわっていく捕物風小説なのであるが、叔父・叔母の家に厄介になっている獄医の江戸市井話ともいえる。
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by binjichan | 2009-09-21 14:58 | 読んだ本の寸評

剣岳(点の記) 新田次郎 文春文庫1981年1月25日第1刷

数ヶ月前、家内が珍しくもお父さんこの映画を見に行こうと新聞広告を指差して言い出した。それがこの小説を映画化したものであった。そのときは、新田次郎氏の現代山岳小説の映画であろうと、聞き流していい加減な返事をしたはずである。なぜなら、映画を見に行っていないからである。
先日、古本屋で歴史時代小説をあさっていると、その文庫本がそのジャンルの棚で見つかったのである。
30年前に印刷されたその文庫本手にして解説を読むと、日露戦争後に前人未踏といわれた北アルプスの剣岳山頂に、三角点埋設の命令を受けた測量士たち山男の苦闘を描いた小説であることを知る。
作者が明治45年の長野生まれであるので、生まれる前のことを資料と実際に山に登り活字にしたことになる。
私の勝手な解釈で、約100年以上前のものを骨董品の対象としている事実から、歴史時代小説もほぼそれに習って、明治時代までをその対象として考えているので、このブログに書き込むことにした。

日本の測量技術は、英国人の指導により明治4年工部省により着手し、後に内務省地理局と兵部省測量課と二本立てで行われ、明治21年に陸軍参謀本部陸地測量部に統一されている。したがって、主人公柴崎測量官は陸軍の文官ということになり、登場人物は、史実に基いた実在の人物である。
何ヶ月も東京を離れ、山にこもって測量のための三角点を埋設し山の頂から測量するまでの苦闘は、想像を絶するが、明治の官僚が成し遂げたのも事実である.
現代の官との隔世の感を感じずにはおれなかったというのが、読書後の一言での感想である。

それにしても、30年前の文庫本の活字の小さいこと、近眼のめがねをはずさないと読める状況では、無かった。余談ながらいつから活字が大きくなったのであろうか・・・
それにしても、山深い天幕の中で、夜カンテラの明かりを頼りに測量記録の整理をしていた測量官の苦悩を思えば、たかが明るいところで寝そべって読む文庫本の活字の大小を嘆いているようでは、先代の努力に申し訳ない思いもする。
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by binjichan | 2009-09-10 11:59 | 読んだ本の寸評

交代寄合伊那衆異聞 攘夷6巻~難航10巻 佐伯泰英 講談社文庫

お盆に5巻の阿片まで読んで、すぐにでも続編を読みたい心境だったが、続きの第6巻の攘夷が手元に無かった。だが、古本で今までを読んできたので新刊を手にして読み続けようとは考えていない。とりあえず、第七巻の上海があるので六巻を飛ばし衆議院選挙の日(8月30日)に読み始める。
昼間読破するつもりで、投票には朝1番に出かけたのであるが、この1週間夏休みの締めを我が家でと、孫たちが来訪、その付き合いで読書どころではない。夕方までにその親たちの投票に間に合うように子供たちの家族を送り、帰宅したら既に開票が始まり24時間番組でマラソンの3倍の距離に挑戦する女性の映像と重なり、いかに面白い小説といえども、活字より映像に引き寄せられる。
選挙結果は、予想をはるかに上回る民主の大勝、24時間番組の走者は、放送時間内にゴールできずも完走。小説の時代とは、異なる一種の変革の時代を感ずる一日だった。
選挙結果の大勢が定まりかけた頃から、「上海」の続きを読み、主人公とその恋人「玲奈」の行動と重ねて民主党の当選者に期待するのだが、・・・一方で、あまりにも大勝しすぎで一抹の不安が宿るのは、なぜであろうか。順序を飛ばして、朝方まで7巻をよんだので、翌朝、既刊で手元に欠落しているすべてを買い求めて、今日まで暇を見つけて読みふけった。30日から今日9月4日まで6日間で6巻の「攘夷」から10巻の「難航」までの5巻分を読んだことになる。
第4巻の「邪宗」から第8巻の「黙契」まで主人公「藤之助」が伝習所剣術指南役教授として長崎滞在中の破天荒な活躍と長崎社会との溶け込み具合が幕臣を感じさせない時代のしがらみを超えたおおらかな人間像として描かれており実に面白い。ちょっとやそっとの日常ごとを後回しにして、読みたくなる魅力がある。そういう意味では、罪作りな作者である。
今度は、追いかけるのではなく、新しい作品をのんびりと待たせていただくところである。
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by binjichan | 2009-09-05 00:01 | 読んだ本の寸評

冬の蝉  杉本苑子  文春文庫

著者が48年から53年にかけて小説雑誌に発表した短編8篇が収録されている。
といっても、この昭和の時期は、小生にとっては30代半ばで仕事に追いまくられていた時代で、小説を読む余裕は、大げさに言えばなかった。47年に過労と飲酒が重なり2週間ほど胃潰瘍で入院したときだけだった。その入院中に読んだのが、唯一「坂の上の雲」司馬遼太郎著で、以後、この作者の作品だけを追いかけていた時代でもある。当時の小生は、小説といえども仕事に結びつけ男の野望を満足させるそんな充実感のあるテーマの作品に魅力を感じていたと思う。
したがって、その当時この「冬の蝉」に掲載されている短編を読む機会も無かったし、読もうとする気持ちも無かった時の作品である。
たまたま、それを読もうとしてこの古本を手にしたのであるから、仕事を離れた男の気分なんていい加減なものである。
それなのに、読み始めると、作品のテーマを別にして、面白いというより、気分が転換して楽しいのである。
気力の継続時間が徐々に短くなる年齢なので、短編ごとをいっきに読み進める。そんな時間が快い。

「墓石を打つ女」は、直参旗本とその隣家に移り住んできたお匙医の家との井戸をめぐる異常な葛藤をえがいた作品であるが、その争いが徐々にエスカレートしていく過程が面白いとは、とても考えられなかったであろうし、お匙医家のあくどい嫌がらせに、堪忍袋の尾を切った直参が、弟の首をはねて直参の身分を返上して大目付に抗議し、お匙医の野望をくじくのだが、公儀がその約定を崩さないよう没するまで見張りを続ける。その直参が墓に入ったとき、お匙医の妻がその墓を杖で打つという結末であるが、老人のそんな執念や老婆の敵意と憎しみを絶やさなかった女の執念は到底理解できなかったように思う。

以下、「菜摘ます児」「礼に来た幽霊」「冬の蝉」「ゆずり葉の井戸」「嫦娥」「仇討ち心中」「仲蔵とその母」何れも読んでいる時だけの楽しみで、数日絶つと読後の文章に出来ないほど記憶からはなれている。
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by binjichan | 2009-08-17 23:24 | 読んだ本の寸評

交代寄合伊那衆異聞 邪宗4巻 阿片5巻 佐伯泰英 講談社文庫

08年正月明けに前三巻を読んで、久しくこのシリーズから離れていた。というよりも時代小説から無意識のうちに遠のいていた。面白かったという印象だけで、どんな筋書きだったかも失念してしまっていたが、この巻を読み進めるにつれて今までの筋書きの記憶が甦ってきた。
この講談社書下ろしシリーズは、現在、私の手元に全部そろっているわけではない。
所持している文庫から推測すると、この漢字二文字の題名シリーズは、変化、雷鳴、風雲、邪宗、阿片、攘夷、上海、黙契、御暇、難航とさらに続くようであるが、まだ、攘夷、黙契、御暇が手元にないのである。
文庫書下ろし長編シリーズの醍醐味は、間断なく続けざまに筋を追って楽しむことにあるのだと思うが、根気がうせ始めている昨今では、暇つぶしにのんびりと古本屋で楽しみながら探し出して、シリーズを安く買い求めて読んでいくのも一つの趣向として受け入れている。
従って、次の巻の「攘夷」を購入するまで、残念ながらこのシリーズとも暫しのお別れである。
このシリーズは、安政の大地震後の幕末を舞台として、歴史上の人物を登場させながら、主人公藤之助が幕府の蜜命を帯びて破天荒な活躍をする痛快で楽しい長編である。
先の見えぬこの時代、前作から長崎に向かい伝習所の剣術指南役の自由な身分で、長崎で活躍することになる。邪宗は、隠れキリスタンの幕府探索役と恋人玲奈とその母がキリスタンであることとの絡みでの戦い、阿片では、阿片の大量密売と日本国内への侵入を阻止する話であったが、「攘夷」での展開がどのようになるのか、楽しみである。短期間で多くのシリーズ物をこなしていく作者の職人技ざに驚くばかりである。
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by binjichan | 2009-08-16 13:11 | 読んだ本の寸評

あかね空  山本一力  文春文庫

126回の直木賞作品。お盆迎え火の日に読み始める。NHKの朝のラジオ番組に時折出ておられる山本一力氏の出世作である。
今月末の衆議院選挙に当たって、現麻生総理は、自民党の責任力を力説されているが、この小説は、家族力の尊さを力説している。貧乏な家に育った主人公が、京都の豆腐屋に丁稚奉公にで、つめに火をともす思いで蓄えた銭を持って、江戸深川に住まい豆腐屋を開業、主人公夫婦の苦労とそれを支援してくれた人たちのおかげで、繁盛し成長していくが、三兄弟の成長とともに、店の将来をめぐって夫婦間の気持ちの差が微妙に出てくる。下町の人情小説として最後までいっきに読みふけってしまう力作である。年のせいもあるが、何度か涙で目頭をぬらされるところがあった憎い作品でもある。
親が鬼籍に入ってはじめて気がつく親に対する子供の心理を余すところ無く描ききっている。
正義の責任力よりも、各家庭が所有しなければならない家庭力を現代に問うている作品でもある。

「三丁目の夕日」の昭和三十年代に思春期を過ごした私の世代には、戦後の貧乏から這い上がろうとする葛藤が、この江戸期の下町小説と共鳴するものが在る。
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by binjichan | 2009-08-14 17:09 | 読んだ本の寸評

陽炎ノ辻 居眠り磐音江戸双紙 佐伯泰英 双葉文庫

このブログに暫く投稿しなかったということは、時代小説からかなりの期間ご無沙汰していたことになる。
昨年の7月以降であるから、一年以上になる。なぜ、そんなに永く時代小説を読まないでいたのか、振り返ってみても、その原因が定かでない。それどころか、ブログ自体書き込みを怠ってきたので、詮索しても所詮しかたのないことである。

 一昨日、近くの公園の夕涼みイベントに出かけたら、同年代のボランテアが古本市を開催していた。たまたまざっと本の題名を追うと、「陽炎ノ辻」が目に留まり、NHKのテレビ番組で放映中?の記憶と重なり、「居眠り磐音 江戸双紙シリーズ」がならんでいるもののすべてを買い求めることにした。といっても、この長編シリーズを全巻購入したかどうかは、まだ確認していない。が、とりあえず、1巻の陽炎ノ辻から読み始め、その夜のうちに1巻は読み終えた。
 長編の書き出しから引き付けられる筋書きから始まる。
主人公坂崎磐音と河出慎之輔・小林琴平が江戸藩邸の勤番を終えて国許の豊後関前藩の城下にたどり着いたその番に、悲劇は起こった。三人のうち所帯持ちは慎之輔だけで、その妻は琴平の妹の舞である。
その舞が「不義密通していた」と帰着したばかりの夫に讒言するものがあって、その言葉に踊らされて慎之輔は、舞を手討ちにしてしまった。錯乱した慎之輔は義兄である琴平に、妹の亡骸を引き取りに来いと使いを寄越した。
藪から棒の話におっとり刀で河出邸に駆けつけた琴平は、あまりにも思慮のない慎之輔に怒り、切り捨てた。
さらに舞が不義をはたらいたと噂を撒き散らした藩上司の次男坊も始末した。
藩に新しい息吹を吹き込んで改革をする夢に燃えて帰国した三人の運命は、一夜にして瓦解した。藩はこの人情沙汰の始末に混乱したが、結果は、琴平への上意討ちが決まり、磐音は自ら志願して、琴平に真相を自らの口で伝えたかったので、琴平の討ちてになった。
それを聞いた琴平は、磐音との真剣勝負を望み、死闘の末に生き残ったのは、磐音だった。
そして彼は、琴平の妹で舞の妹でもある奈緒と祝言を挙げる予定だったのだが、奈緒の兄を討った磐音は、
何も告げずに藩にいとまごいをして三人の位牌を持って江戸にでるのである。
シリーズ第二弾 寒雷ノ坂 今日8月3日に公園で読む。
前述の悲劇が、豊後関前藩の改革を阻止しようとする老害家老一派の陰謀から派生した事件であったこと、それがお家騒動に展開していく。
第三弾花芒の海 第四巻雪華の里 五巻龍天の門まで、8月8日までに読み終えた。
今日8日にNHKで陽炎の辻③最終回を放映していたのをみた。最後の結末を見てしまう羽目になったと同時に、買い求めていたシリーズ本がとぎれた。
5巻本の帯にシリーズ6以降12巻までが記されているのだが、それで終りとしても、まだ長編の半分にまでも読破していないことに気づく。
ところが、8月1日に買い求めた本の中に、同シリーズ29冬桜の雀があることに気づく。このシリーズはどこまで続くのか見当がつかない。明日にでも本屋にいって全容をつかんだ上で、未読部分を購うつもりである。
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by binjichan | 2009-08-03 15:21 | 読んだ本の寸評