敦煌  井上靖  新潮文庫

5月12日四川大震災の大災害が起こって10日にならんとす。春にはチベット民族の暴動鎮圧で夏開催のオリンピック聖火リレーに関して各国で人権問題だと物議をかもしたばかりである。
相した時期に、「敦煌」を読むことになったのは、強ちこれらの事柄に無関係で合ったわけではない。いや、むしろ国家主席の訪日があったからかもしれない。いずれにしても、中国の西域の歴史に多少触れてみたかったのであろう。
この小説は昭和34年に書かれ、翌年毎日芸術大賞を受賞しているのだが、松本幸四郎主演で劇場公演されたのをテレビ中継で観た記憶がある。そんなに遠い昔ではないと思うのだが、記憶違いであろうか?定かでない。
史実にのって小説化されているが、主人公の行徳も、脇役も架空の人物らしい。むしろ、主役は「敦煌」の街であり、行徳が歩み行動した地域なのかも知れない。あるいは、広大な中国の土地を治める民族の戦いそのものが、主題であり、個人としての主人公の存在は、小さな葛藤にしか思えない雄大な小説である。
高校時代に「天平の甍」を読み、久しぶりにこの作品を読んだのであるが、漢字の勉強には、もってこいの小説で、その面からもお勧めしたい。
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by binjichan | 2008-05-21 13:57 | 読んだ本の寸評
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