戦雲の夢 司馬遼太郎 講談社文庫

作家の37歳時の長編。土佐の22万石を築き上げた長曾我部元親の三男、盛親を描いた作品。
男を描けば天下一品の作者だが、この作品では、盛親を取り巻く女性が見事に描かれている。
盛親は、父の生存中に兄がいるのに父の意向により跡目を継ぐ。秀吉の死後、西軍につき、関が原の戦いで毛利の指揮下にはいるが、戦うことなく敗れる。一介の牢人の身に落ちる。恥じ多き蟄居のなかで、戦陣への野望を密かにはぐくみ、再起をかけて遺臣たちと共に、大坂の陣に立ち上がるのであるが、大きな器量を持ちながら、結果は、家康の野望にくずれ、乱世に取り残された悲運の武将となる。この過程を女性観を含めて見事に描き出されている。幼友達であり家来である交友。忍者の献身的な働きなど個性豊かな脇役がでてきて、主人公の性格を浮き彫りにして最後まで面白く読めた。
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by binjichan | 2008-04-17 21:48 | 読んだ本の寸評
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