風の武士 上下 司馬遼太郎 講談社文庫

久しぶりに読む司馬作品。司馬遼太郎の初期作品には、忍法ものがかなりのウエイトを占める。直木賞作品「梟の城」もそうであるが、この「風の武士」も伊賀の家系を先祖に持つ次男坊が主人公である。江戸から東海道を経て熊野の秘境へ、伝説の秘国の黄金を求めて、幕府の隠密、紀伊藩の隠密が、幕閣や大名、豪商の欲にかられて殺到する。迷路と血の争いの果てにたどり着いたの処は、ユダヤ人の」部落であった。
以前、四国の秘境にユダヤの財宝が隠されている可能性があるともっともらしく記した書をよんだことがあるが、この小説では、熊野の山奥の伝奇物語として、描かれている。
主人公の性格からそうなるのか、会話部分が簡単明瞭で短く、心の動きは()で記されて読みやすく、物語の進展に引きずり込まれていく。が、作者の社会観なのかどうか分からないが、「梟の城」でもそうであったように、目的に向かって壮絶なまでの努力をしても、最後は、読者の想像を裏切り、期待はずれの平凡なところで、落ち着かされている。
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by binjichan | 2008-02-26 08:34 | 読んだ本の寸評
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