蒼き狼 井上靖 新潮文庫

井上氏の作品には、中国大陸を題材にした代表作が多い。この長編もその一つである。
この小説を読むに到った動機は、単純である。最近、巡業を休養する届けを出していた蒙古出身の横綱が祖国に帰ってサッカーをやっていたということで、処分されたばかりである。
中国の長城が建設されたのも、この北方民族の侵入を防ぐためであるということからして、蒙古民族の歴史に多少の興味を持ったからである。

アジアの生んだ一代の英雄ジンギスカンが、どのように蒙古を統一し、ヨーロッパにまで遠征を企てていったかを、その時代の民族闘争を単なる史実として、読み流すだけでも、何らかの意味がある。
ひたすら、敵を求め侵略と略奪を続けた征服欲は、どこから来たのか。現代の人間にそのことを漠然と示唆してくれる。
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by binjichan | 2007-08-13 12:02 | 読んだ本の寸評
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