絶影の剣 日向景一郎シリーズⅢ 北方謙三 新潮文庫

シリーズ1・2を飛ばしていきなり3から読んだ。
天保年間の話と推測できるが、史実ではない。
疫病が蔓延している小村、実は飲み水に仕組まれた毒殺で、小藩と伊達藩との家老の共謀による金鉱山を幕府に知れないようにする陰謀であった。
医者の丸尾修理に誘われ、主人公、景一郎がこの村人を救うことに巻き込まれ藩と戦いながら少数の村人とその村を脱出して、幕府にその陰謀を報告し、藩の取り潰しを狙うのであるが、その方策として医者の修理が取った策がハイジャック思考で、面白い。
途中、一連の描写、特に村での戦いにおいて、残酷すぎて読むに耐えない部分もあるが、創作小説として若い人にも理屈抜きに面白いと感じさせるのではないだろうか。
特に最後のミステリアスな修理の行動とそれに対応する幕府権力の様は、そうあったかもしれないと連想しえる現実性を帯びている。

修理が幕府にどのように村で起こったことを伝え、藩にたいして制裁を加えるよう訴えたか、具体的な方策を書いてしまうと、これから読む人の興味を半減させることになるので、省くことにする。読み物として楽しめることは、間違いないと思うが、やはり残酷な後味感がぬぐいきれない。
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by binjichan | 2007-07-24 16:13 | 読んだ本の寸評
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