「天平の甍」 井上靖 新潮文庫

高校2年の春、奈良・京都・四国方面の修学旅行が施行されるのが、通例となっていた。大学受験を配慮したスケジュールだったのであろう。その旅行の「しおり」編集委員になったとき,この「天平の甍」のどこだったかは記憶にないが、甍を表現した部分を抜粋して持ってきた仲間の委員がいた。そのとき、この小説の存在を知ったのであるが、完読した記憶はない。
たまたま、今日、蔵書を眺めていたら、目に留まったので取り出してみたくなった。昭和39年3月20日文庫本初版で蔵書は61年10月の52刷分である。高校卒業が33年春、東京タワーが完成したときだったので、いつ発表された作品なのか、抜粋してきた仲間はどこから引用したのか。今になって疑問になったのである。
それにしても、漢字が多いのに活字が小さい、読み進めるには、気力よりもそんなことが抵抗になる。
『天平の甍』は、第九次遣唐使で留学僧として唐に渡ることになった普照をはじめとする僧侶たちの使命感を描いた物語である。また、日本にはじめて正式な戒律(僧侶が守るべきしきたり)をもたらし、それまで混乱の極みにあった仏教界にあらたな秩序を築くことになった唐の高僧、鑑真の物語でもある。映画化されている。その映画監督熊井啓氏が昨日なくなられた。

1957年12月中央公論社発刊であることが、判りました。修学旅行の「しおり」編集は発刊まもない翌年の春だったことになります。多分彼はその当時から文学青年だったのであろう。

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by binjichan | 2007-05-22 18:31 | 今読んでいる本
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