次の8編が収録されている短編集である。
田蔵田半右衛門 (田蔵田は、麝香鹿の身代わりになる獣だそうです。) しずれの音 (しずれとは、枝にから落ちる雪のこと) 九月の瓜 邯鄲(かんたん) (虫の種類だそうですが、広辞苑にはありません) うつしみ (映し身と書くのでしょうか?) 向椿山 磯波 梅雨のなごり この作者の「直木賞」受賞作「生きる」に続いて読む作品である。今日「かんたん」まで4作読んだところ、藤沢周平作品の「たそがれ清兵衛」(前述)に収録されている短編よりも一ひねりしてあり、生きることに対する心の表し方が、素晴らしい。そして泣ける作品である。藤沢周平氏の作品は、氏が亡くなられて10年になるから、すでに刊行されているものという限界がある。個人的には、乙川優三郎氏がその穴を埋めてくれる作家ではないかと思っている。今後が楽しみである。 表題をみていただければ、お解かりいただけると思うが、季節感のある美しい「日本語」がつかわれており、題名そのものにも繊細な心配りが感じられる。美しい言葉を教えてもらうのと同時に、面白いお話を聞かせていただいたと思う作品集である。 微妙な心の動きやその内面が、見事に描かれている。映像にするには難しい作品ではないだろうか。ますます作者の作品が好きになる一冊である。
by binjichan
| 2007-05-17 14:50
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