歴史時代小説100選に選定されているこの作品は、私が長い間古本屋をさがしていたもので、最近まで手にすることが出来なかった。このブログをはじめるにあたってインターネット上の古本屋から、先日、届いたものである。「会津士魂」を読むつもりであったが、冊数も多いし、「戊辰落日」の余韻が強すぎて、暫し軽い読み物にて気分展開をしてからとその思いを変更する。
坂東妻三郎、市川歌右衛門、勝新太郎が流れ星の雨太郎の役で、戦前戦後に三度映画化されており、角田喜久雄の伝奇時代小説の不滅の傑作といわれている。 さみだれ縄の秘術(紫雲流縄術)を駆使するのは、神田連雀町の捕物名人と謳われた御用聞き仏の仁吉の一人娘、牡丹の花が咲いたようにあでやかな娘盛りは十九のお絹。 そのお絹を助けるのは、右の二腕に並んだ五つのほくろから、人呼んで流れ星の雨太郎いう歌舞伎の若衆かと見紛う快人物。 江戸人士からは渇仰の英雄視される神出鬼没没の怪盗! ときに、江戸の街は毒虫さそりをつかう黄虫、またの名をさそり道人という妖しの怪人の暗躍に慄え上がっていた。!そして、伝説将棋谷にまつわる暗雲と渦巻く謎の行方は? というのが、表紙カバー裏の誘い文である。 誠に痛快、テンポが速くあっという間に読み終える。セリフも多く、シナリオ化するのに最適、再び最近の感覚で映像化されるのが楽しみである。そのときはお絹役の人選が鍵となろう。
by binjichan
| 2007-02-26 17:07
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