08年正月明けに前三巻を読んで、久しくこのシリーズから離れていた。というよりも時代小説から無意識のうちに遠のいていた。面白かったという印象だけで、どんな筋書きだったかも失念してしまっていたが、この巻を読み進めるにつれて今までの筋書きの記憶が甦ってきた。
この講談社書下ろしシリーズは、現在、私の手元に全部そろっているわけではない。 所持している文庫から推測すると、この漢字二文字の題名シリーズは、変化、雷鳴、風雲、邪宗、阿片、攘夷、上海、黙契、御暇、難航とさらに続くようであるが、まだ、攘夷、黙契、御暇が手元にないのである。 文庫書下ろし長編シリーズの醍醐味は、間断なく続けざまに筋を追って楽しむことにあるのだと思うが、根気がうせ始めている昨今では、暇つぶしにのんびりと古本屋で楽しみながら探し出して、シリーズを安く買い求めて読んでいくのも一つの趣向として受け入れている。 従って、次の巻の「攘夷」を購入するまで、残念ながらこのシリーズとも暫しのお別れである。 このシリーズは、安政の大地震後の幕末を舞台として、歴史上の人物を登場させながら、主人公藤之助が幕府の蜜命を帯びて破天荒な活躍をする痛快で楽しい長編である。 先の見えぬこの時代、前作から長崎に向かい伝習所の剣術指南役の自由な身分で、長崎で活躍することになる。邪宗は、隠れキリスタンの幕府探索役と恋人玲奈とその母がキリスタンであることとの絡みでの戦い、阿片では、阿片の大量密売と日本国内への侵入を阻止する話であったが、「攘夷」での展開がどのようになるのか、楽しみである。短期間で多くのシリーズ物をこなしていく作者の職人技ざに驚くばかりである。
by binjichan
| 2009-08-16 13:11
| 読んだ本の寸評
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